ディップフラワー(ディップアート・アメリカンフラワー)を作るのに欠かせないのが「ディップ液」です。ワイヤーで作った枠をくぐらせるだけで、ガラスのような膜が張る不思議な液体。この記事では、ディップ液とは何か、全28色の種類と缶のサイズ、色の作り方、乾く時間、扱うときの注意点や捨て方まで、教室で実際に使っている講師の目線でまとめて解説します。
ディップ液とは
ディップ液は、ワイヤーで作った花びらや葉の枠に膜を張るための合成樹脂液です。株式会社トウペが、塗料づくりで培った技術をもとに製造しています(商品名「TOA DIP」、アメリカンフラワー用ディップ液)。
中身は、樹脂と染料を揮発性の溶剤に溶かしたものです。枠を液にくぐらせて引き上げると、表面張力で枠の中に薄い膜が張ります。そのまま置いておくと溶剤が蒸発して、自然に固まります。
乾く時間の目安
室温や湿度によって変わりますが、30分から1時間ほどである程度乾きます。1日たつとさらに乾いて少し縮み、花びらに自然な反りが出ることもあります。ストレンスナー(強化液)などの仕上げは、膜がしっかり乾いてから行いましょう。
レジンとの違い
ディップ液は「乾いて」固まり、レジン液はUV/LEDライトを「当てて」固まります。固まり方も作れる作品の雰囲気も違うので、詳しくは「ディップアートとレジンの違い」をご覧ください。
ディップ液の色は全28色
ディップ液(160ml缶)は全28色あります。販売店の一覧をもとに、色の系統ごとに分けると次のとおりです(番号は色番号)。
| 系統 | 色名 |
|---|---|
| 白・透明 | 1 スノーホワイト、2 クリヤー |
| 赤・ピンク | 5 ホットピンク、6 チェリーレッド、7 レッド、20 フレヤーピンク、25 ライトピンク、36 ガーネットレッド |
| 黄・オレンジ | 9 アンバー、10 オレンジ、11 ゴールデンイエロー、21 ファーストイエロー、31 サフランイエロー |
| 緑 | 12 ライトグリーン、13 エメラルドグリーン、15 グリーン、22 スモークグリーン、30 リーフグリーン |
| 青・紫 | 17 バイオレット、18 スカイブルー、19 ディプシーブルー、26 ライトブルー、27 ライトバイオレット |
| パール・ラメ系 | 3 DXパール、23 パールイエロー、24 パールバイオレット、28 ゴールド |
| その他 | 4 ブラック |
染料の入手状況によって、製造ロットごとに色味が少し変わることがあります。同じ作品の続きを作るときは、少し多めに用意しておくと安心です。
最初に用意したい色
作るお花によって必要な色は変わりますが、よく使うのは、膜を透明にしたり色を薄めたりする「クリヤー」、白いお花や白調合液に使う「スノーホワイト」、葉や茎に使う「リーフグリーン」などの緑系です。当教室の通信講座では、お申し込み後に必要な色をご案内しています。
缶のサイズと価格の目安
| サイズ | 色数 | 特徴 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| 160ml缶 | 全28色 | 口が狭く、大きな花びらや葉の枠は入らないことがある | 2,750円(定価) |
| 0.7L缶 | 12色 | 口が広く、ほとんどのディップができる。クリヤー、グリーン、リーフグリーン、スノーホワイトなどよく使う色 | 8,415円(定価) |
ディップ液の価格は定価(税込)です。販売店によって実際の販売価格は異なります。手芸店やホームセンター、ネットショップで購入できますが、100円ショップでは販売されていません。
ほしのディップアートのオンラインショップでは、各種ディップアート資材や、これから始める方向けのスターターセットを割引価格で販売しています。
大きなパーツをディップするときや、よく使う色は、口の広い容器に移し替えると作業しやすくなります。容器の選び方は「ディップ液の保存容器の選び方・注意点」で詳しく解説しています。
色の作り方(調合)
ディップ液は、色の違う液を混ぜ合わせて好きな色を作れます。調合は、ヘラ(パレットナイフ)で少しずつ混ぜ、試しにディップして色を確かめながら進めます。
- 色を薄くしたいとき:クリヤーを加えると、透明感を残したまま淡い色になります
- 白いお花:クリヤーにスノーホワイトを少しずつ足した「白調合液」をよく使います。本物の白い花に近づけたいときは、ほんの少しグリーン系やイエロー系を加えます
- スノーホワイトは入れすぎ注意:色がとても強く、入れすぎるとクリヤーを足しても透明感がなかなか戻りません。竹串の先に少し付けて混ぜる程度から始めましょう
- ゴールドなどラメ系:キラキラする成分が缶の底に沈んでいることがあります。使う前によくかき混ぜます
具体的な配合の例は「ベージュ色の作り方」で紹介しています。
ディップ液と一緒に使うもの
| 資材 | 役割 |
|---|---|
| うすめ液 | 濃くなったディップ液を薄めて、ちょうど良い濃さに戻す。250mlと1Lがある |
| ストレンスナー(強化液) | 乾いた膜を丈夫にする仕上げ液。水性・油性・スプレータイプがある。ディップ液に混ぜてはいけない |
| ダブルコート | ストレンスナーの下地などに使い、膜に柔軟性を出す |
それぞれの使い方は「ディップフラワーの材料と道具」と「ディップのコーティング剤と比較」で詳しく紹介しています。
ディップ液が濃くなってきたら
ディップ液は、フタを開けている時間が長かったり、繰り返し使ったりしているうちに溶剤が揮発して、少しずつ濃くなります。濃くなると膜がきれいに張らず、泡も入りやすくなるので、うすめ液を少しずつ加えて調整します。目安は、濃いはちみつのような状態から、メープルシロップくらいのとろみに戻すことです。一番の目安は新品のディップ液の濃さなので、開けたときのとろみを覚えておきましょう。
調整のコツは「【プロ直伝】ディップ液が固まったら?」で、完全に固まってしまったときの対処法は「容器の中で乾いてしまったディップ液を復活させる方法」で紹介しています。
扱うときの注意点
- 火気厳禁:引火性のある溶剤を含むので、火や暖房器具の近くでは使わないでください
- 換気をする:溶剤の蒸気をたくさん吸い込むと、めまいや頭痛の原因になります。窓を開けたり換気扇を回したりしながら作業しましょう
- 服や肌に注意:服に付いて乾くと洗っても取れません。エプロンや汚れてもよい服で作業しましょう。手に付いたら石けんでよく洗います
- 目に入ったら:すぐに大量の水で洗い、医師の診察を受けてください
- 爪に付くとマニキュアが落ちることがあります。気になる方はゴム手袋を使いましょう
保管と捨て方
- フタをしっかり閉め、直射日光や暖房の風が当たらない涼しい場所に保管します。子どもの手が届かない場所に置きましょう
- 余ったディップ液は、新聞紙などに広げて乾かしてから捨てます。捨て方はお住まいの自治体のルールに従ってください
ディップ液を使ってみたい方へ
「ディップ液をそろえる前に、一度試してみたい」という方には、体験レッスンがおすすめです。ほしのディップアート自由が丘の体験レッスンでは、ディップ液や道具をすべてご用意しています。枠をくぐらせて膜が張る瞬間を、講師と一緒に体験してみてください。
講師プロフィール

ほしのディップアート代表講師|赤澤成行
2009年から天然石ワイヤーアクセサリー教室「Hoshino stone」をスタート。講座実績は3000回以上(2025年11月現在)。同じくワイヤーを扱うハンドメイド教室としてディップアート・アメリカンフラワー教室「ほしのディップアート」を始める。ディップアート教室では数少ない男性講師です。「もの作り」と「教える」ことが大好きで、少人数制で丁寧・分かりやすいレッスンを心掛けています。
2024年1月 トウペディップアート協会 入会
2024年10月 ディップフラワー・ディップジュエリー 認定講師
2025年10月 トウペディップアート協会 認定師範













